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「あとで見るのまま展」レポ-ト:デジタルごみから環境問題を考える
プロフィール
杉山雄琉
在学生/「塾生会議」デジタルごみプロジェクト 代表「あとで見るのまま展」告知ページはこちら
デジタルごみとは、「クラウド上にアップロードする必要のないファイルやデータのこと」である。筆者も日々情報を検索しては、再度検索する手間を省くために撮ったスクリーンショットなど、今となっては何のために保存したのかわからないようなデータを残していた。クラウドの容量を圧迫しているから消したいとは思うのだが、手間がかかるためになかなかやる気が起きない。しかし、これが環境に負荷をかけているというのだ。本展示では、こうした私たちの身近なデジタルごみを取り上げて、パネルで掲示している。
このように、不要なのに保存してあるデジタルごみにフォーカスした本展示がどのように作られたのか。この展示を運営するのは、慶應義塾のSDGsの実現に向け、塾長に提言する団体「塾生会議」のデジタルごみプロジェクト。代表の杉山雄琉さんにインタビューを行い、展示に込めた思い、そして今後の活動について伺った。
デジタル×環境をテーマにしたワケ
デジタルごみの問題を取り上げたきっかけはプロジェクトメンバーのうちの一人が受けていた授業だった。
「SFCの授業で、データを保存し続けることで電力が使われ、その積み重ねが環境負荷につながると知ったメンバーがいて。それをきっかけにみんなで調べてみると、想像以上に大きな数字が出てくるんですよ」と杉山さんは話す。
実際、クラウド上のデータ保存には常に電力が使われ、CO₂排出につながる。慶應義塾全体で使われているデータ保存(クラウド利用)だけでも、試算では年間約128トンのCO₂が排出されており、その吸収には約1.5万本のスギが必要になるという。
大切にしたのは「親近感」と「リアリティ」
本展示の大きな特徴のひとつが、来場者が思わず「わかる…!」と共感してしまうリアリティだ。展示物の素材を集める段階で、当初はほとんどAIを利用して展示パネルを作っていた。しかし、杉山さんは「全部AIだと見ていて共感しないなと思って。リアリティがないと楽しくない」と感じたそうだ。
そこで、実際の写真も展示の中に含んだ。杉山さんは「僕、リーダーなのにデジタルごみが残っていて」と笑いながら、自身のスマホにたまたま残っていた“ブレた”写真を使ったパネルを示してくれた。他には前転をしている最中の連続写真もあった。川沿いの公園まで行って、実際に撮ったそうだ。
また、展示物の中にも細かな工夫が施されている。例えば、「何かしらで使ったQRコード」のパネルは実際にQRコードを読み込むことができる。スーパーのチラシやレシートのスクリーンショットの中に「ケーオースーパー」の文字が。細部までこだわっていることがうかがえる。
学生だけじゃない。教職員にも広げたいデジタルごみ削減
プロジェクトは「慶應全体」で身近なところから環境問題に取り組むことを目指したものである。とはいえ、学生の私がとても共感できるものが多かったため、「あとで見るのまま展」のターゲットはやはり学生なのだろうかと思って聞いてみると、意外な答えが返ってきた。
「塾生(学生)はもちろんなのですが、職員とか教員の方々もターゲットにしています。」
授業資料やレジュメなど、学生のための書類の中にも、不要になったのに捨てられていないものもあるのではないか。日々、多くのデータを扱う立場だからこそ、気づかないうちに不要なファイルが蓄積されて、慶應全体のCO₂排出量を増やしてしまっている側面も否定できない。だからこそ、「本展示を通してまずはデジタルごみの概念そのものを皆に広く知ってもらいたい」と力強く語った。
「あとで見るのまま展」からはじめる環境行動
「あとで見るのまま展」は単発の企画ではなく、塾生会議の「慶應義塾のデジタルごみを減らす」プロジェクトの中のひとつとして位置づけられている。この展示は今回、日吉キャンパスの藤山記念館にておこなわれたが、今後三田メディアセンターなど、場所を増やして広げていくことも考えているそうだ。直近では、「Digital Cleanup Week」を7月6~10日の期間、日吉キャンパスで開催する。その場で1MB以上削除した参加者にキットカットが配布されるそうだ。ぜひ参加してデジタルごみの削除を実践してほしい。こうした環境行動の積み重ねが、「慶應の環境を塾生皆で協力して守っていく」ことの実現につながる。