慶應義塾

第20回助成

MEDINFO2025(2025年8月10日~14日)(台湾・台北市)

台湾・台北市にて開催された「MEDINFO2025」に参加し、「Development of an Automated Classification System for Medication-Related Incident Factors: A Practical Approach to Enhancing Patient Safety Management」という演題にて口頭発表を行いました。

医療安全の推進には過去の事故事例の体系的な分析が不可欠です。しかし、膨大な件数のインシデントレポートが蓄積されているにもかかわらず、その詳細な分析には専門知識と時間を要するため、十分に活用できていない現状があります。本研究では、この課題に対応するため、自然言語処理技術を用いてインシデントレポートから事故要因を自動的に抽出するモデルを構築しました。機械学習手法の工夫により、軽量かつ一定精度での事故要因抽出が可能な、臨床現場で実用的なモデルを実現しました。

会期中は他の研究発表も積極的に聴講し、質疑応答にも参加しました。世界中の研究者の方々と積極的に議論する中で、薬学だけでなく情報学の専門家の方々とも意見交換をする機会に恵まれました。様々な視点からのご意見に大変刺激を受けるとともに、研究者として大きく成長することができました。また、他国における医療事故報告の制度や、医療安全の実情についても学ぶことができ、今後の研究に繋がる知見を多数得ることができました。

末筆ながら、本学会への参加・発表に際し多大なるご支援を賜りました佐藤製薬株式会社様に、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

(薬学部薬学科 6年/髙松 祐里)

薬学研究科 修士課程1年/檀 裕治

Asia Pacific Societies for Extracellular Vesicles 2025(2025年07月02日~05日)(シンガポール )

私はAsia Pacific Societies for Extracellular Vesicles 2025において、” COPB2 protein in extracellular vesicles induced by endoplasmic reticulum stress as a potential biomarker for lung cancer”と題してポスター発表を行いました。

がん細胞の分泌する細胞外小胞(Extracellular Vesicles: EV)の内容物は、がんの診断や治療への応用可能性を秘めています。そこで、肺がん患者血清サンプルからEVを回収し、その内包タンパク質を分析したところ、患者由来EVはCOPB2というタンパク質を多く含むことが明らかとなりました。今回の発表ではその結果と、メカニズムに関する検討を発表しました。

発表では、英語による質疑応答を通じて英会話への抵抗感が払拭され、研究内容を簡潔に説明できるようになりました。また、学会会場で出展していた海外企業の担当者と、同社のナノ粒子解析プラットフォームをCOPB2評価に応用する可能性について有意義な議論を行い、共同研究の検討をすることができました。これらの経験は、研究の国際的発信力を向上させると同時に、企業の研究者とも対等に議論をすることができるという自信を養う貴重な機会となりました。

最後になりますが、佐藤製薬株式会社様には、この度の学会参加をご支援いただき誠にありがとうございました。頂いた機会をばねにより一層研究者として成長してまいります。

 (薬学研究科 修士課程1年/檀 裕治)

(薬学研究科 修士課程2年/浅川 薫子)

Asia Pacific Societies for Extracellular Vesicles 2025(2025年07月03日~04日)(シンガポール)

私は、Asia Pacific Societies for Extracellular Vesicles 2025において、「Exploration of miRNAs associated with the degree of intratumor T-cell infiltration in mouse pancreatic cancer cells」と題したポスター発表を行いました。

本研究では、膵臓がん細胞由来の細胞外小胞(Extracellular Vesicles: EV)に含まれるmiRNAに着目し、それらが腫瘍免疫環境に与える影響を明らかにすることを目的としています。私は、EV内miRNAの発現と腫瘍内T細胞浸潤との関連性について、膵がんマウスモデルを用いて解析を行い、浸潤度に関連するmiRNAの同定結果と、それが免疫応答に関わる可能性について発表いたしました。

学会会場では、国内外の研究者と活発に意見交換を行い、EVやmiRNAの解析手法に関して新たな視点を得ることができました。特に、膵臓がんのような難治性がんにおいて、EV研究が診断や治療の突破口となり得ることを実感し、自身の研究の意義と今後の可能性を改めて認識いたしました。

最後に、このような貴重な機会をご支援いただいた佐藤製薬株式会社様に、心より感謝申し上げます。今回得た学びを糧に、今後も日々の研究生活を通じて、がん治療の発展に少しでも貢献できるよう、研究者として一層成長してまいります。

(薬科学科専攻 修士課程2年/浅川 薫子)

薬学研究科 修士課程2年/大嶋 一輝

International Society for Extracellular Vesicles 2025(2025年4月24日~27日)(オーストリア・ウィーン)

私はこの度、2025年4月24日から27日にかけてオーストリア・ウィーンで開催されたInternational Society for Extracellular Vesicles 2025 (ISEV2025)において、「Cancer-associated circulating bacterial tsRNAs identified by large-scale serum RNA-seq analysis」という演題でポスター発表を行いました。

近年のRNA-seq技術の進歩により、ヒト血中にヒトゲノムに由来しないRNAが存在することが明らかになっています。本研究では、血液中に細菌由来のRNAが存在すること、さらに特定の細菌由来のtRNA由来低分子RNA (tRNA-derived small RNAs; tsRNAs)の存在量が肝細胞がんの有無と相関することを明らかにしました。なかでも、肝細胞がんの進展に関与することが報告されているKlebsiella pneumoniaeで同定されたtsRNAは、実際に細菌が分泌する細胞外小胞(bacterial Extracellular Vesicles; bEVs)に内包されていることが確認されました。このbEVを代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)を背景とする肝がん発がんモデルマウスに尾静脈投与したところ、腫瘍の増大傾向が認められました。

ISEVは私にとって初めての国際学会であり、多様な背景をもつ参加者と活発な議論を交わすことができたのは非常に有意義な経験となりました。今回得られた知見を糧に今後の研究活動に一層励んでまいります。

最後に、本学会の参加および発表にあたり、佐藤製薬株式会社様より多大なるご支援を賜りましたことを、心より御礼申し上げます。

(薬学研究科 修士課程2年/大嶋 一輝)

薬学研究科 修士課程1年/野村 菜奈佳

第48回日本神経科学大会(2025年7月24日~27日)(新潟県新潟市)

私は7月に朱鷺メッセにて開催されたNEURO2025に参加し、「末梢神経損傷後のミクログリア活性化に対するLAG-3の影響」という演題でポスター発表を行いました。

末梢神経損傷(PNI)は、回復に個人差が大きく、永続的な運動機能障害を引き起こす可能性があることから、新たな治療法の探索が重要です。PNI後には、損傷部だけでなく中枢神経系(CNS)においても免疫反応が引き起こされ、PNI後に活性化したミクログリアは、軸索再生を促進することが示唆されています。

当研究室の先行研究より、免疫チェックポイント分子の一つであるlymphocyte activation gene 3(LAG-3)は活性化したミクログリアに発現し、その活性化を制御していることが明らかとなりました。そこで、PNIの新たな治療法の探索を目的とし、LAG-3欠損がPNI後のミクログリア活性化に与える影響を解析しました。その結果、PNI後7日目以降にミクログリアがLAG-3を発現し、LAG-3欠損によりミクログリアの活性化が促進されることが示されました。また、LAG-3の欠損は運動ニューロンにおける再生応答を持続させることも明らかにしました。

本学会には神経科学の専門家が多く参加しており、ポスター発表を通じて多様な研究者と活発に議論することで、自身の研究に関する課題や今後の指針に対する客観的な意見を得ることができました。また、最先端の研究発表を聴講することで、知見をより深めることができました。

最後になりますが、本学会に参加するにあたり、佐藤製薬株式会社様より研究奨励資金として多大なご支援を賜りましたこと、厚く御礼申し上げます。

(薬学研究科 修士課程1年/野村 菜奈佳)

薬学研究科 後期博士課程3年/公平 実希

28th International symposium: Synthesis in organic chemistry(2025年07月20日~26日)(Homerton College, Cambridge, UK)

私はイギリスのCambridgeにて開催された28th International symposium: Synthesis in organic chemistryに参加し、”Revisiting C4N4 Fluorophore: Theoretical Elucidation of Radiative decay Pathway of 2,5-Diaminopyrimidines and Strategic Applications to Heavy Metal Detection” という題目でポスター発表を行いました。

我々のグループが新たに蛍光性コア骨格となることを見出したC4N4は,高い蛍光量子収率や大きなストークスシフト等、有意な蛍光特性を示します。最近,C4N4の蛍光発光メカニズムについて,これまでの仮説に反する誘導体の存在が複数確認されました。そこで本研究では,時間依存密度汎関数法(TDDFT)と人工力誘起反応法(AFIR法)を用いて,S1からS0への内部転換経路を詳細に解析しました。さらに,C4N4に特徴的な2つの無置換アミノ基の修飾において,N-アルキル化では蛍光性を維持する一方,イミン形成により非蛍光性となることを新たに見出したため,イミン/アミン変換により蛍光のON/OFF調節が可能になると考えました。そこでPd存在下で容易に切断される,アリル基を配したフェノールを近傍に有する誘導体を合成したところ,環状N,O-アセタール形成による蛍光賦活を利用した微量パラジウムの検出を可能にする蛍光プローブの開発に成功しました。

本学会では,諸外国の研究者と意見交換をすることができ,自分の研究テーマを客観的かつ俯瞰的に見つめ直すことができました。また,分野横断的な最先端の発表を数多く拝聴することができ,自らの研究視野を広げる良い刺激を受けることができました。末筆にはなりますが,この度は佐藤製薬株式会社様からの多大なるご支援を賜り,このような貴重な機会をいただけましたことを,この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

(薬学研究科 後期博士課程3年/公平 実希)

佐藤製薬株式会社研究奨励資金 過去の活動報告一覧

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