慶應義塾

第21回助成

第35回日本医療薬学会年会(2025年11月22日~24日)(兵庫県・神戸市)

私は神戸で開催された第35回日本医療薬学会年会において、「セフメタゾールのヒト血清アルブミンと結合パラメータ及び結合部位の解明と結合パラメータを用いた予測遊離形濃度の評価」という演題で口頭発表を行いました。CMZは蛋白結合率の高い抗菌薬です。蛋白結合の研究は、有効性と安全性を担保した投与法の構築や薬物動態への解明に重要であるが、結合パラメータや結合部位は明らかになっていません。本研究では、CMZの結合パラメータや結合部位を明らかにし、結合パラメータを用いて総濃度から算出した予測遊離形濃度を評価しました。スキャッチャード解析とサイトマーカー薬物による競合置換試験から、CMZがアルブミン上のSubdomain IBに高い親和性で結合していることを明らかにしました。結合パラメータを用いることで高い精度で遊離形濃度を予測できることが示されました。先生方から多くの貴重なご意見やご質問をいただくことができ、今後の研究の展開について考えを深めることができました。また、シンポジウムやポスター発表を通して、臨床現場における薬剤師としての多くの知見や研究について学ぶことができ、今後の研究活動に活かしていきたいと考えております。最後になりますが、本学会に参加するにあたり、佐藤製薬株式会社様より研究奨励資金として多大なご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。

(薬学部 薬学科6年/原 龍星) 

(薬学研究科 博士課程2年/隋 芸煊)

第53回構造活性相関シンポジウム(2025年 9月3日~5日)(近畿大学東大阪キャンパス)

私は、近畿大学で開催された第53回構造活性相関シンポジウムにおいて、データ不均衡補正による PPI 阻害活性予測モデルの精度向上」をテーマにポスター発表を行いました。

タンパク質間相互作用(PPI)創薬に向け、中分子化合物の阻害活性を機械学習で予測する枠組みを検討した。標的は酸化ストレス応答に関わる Keap1/Nrf2 複合体で、活性データが希少で非活性が多数という実務的課題に対し、Random Forest に SMOTEを組み合わせた分類モデルを構築しました。再現性確保のためネストされた交差検証を行い、Recall、Cohen’s κ などを指標に評価した結果、少数クラス(活性)の再現率と全体の識別性能が改善する一方、しきい値設定によっては非活性の特異度が低下し得ることを示しました。会場では、特徴量解釈、しきい値最適化、ならびに ChemTS 等の生成 AI を用いた“化学的実体を伴う”拡張の必要性について活発な議論がなされ、今後の改良方針(候補分子の生成と実験検証の接続)の具体化につながりました。

最後に、本研究の推進にあたり多大なるご支援を賜りました佐藤製薬株式会社様に、心より御礼申し上げます。

(薬学研究科 博士課程2年/隋 芸煊)

(薬学研究科 博士課程1年/河野 紅葉)

ACPE 2025(2025年11月21日~24日)(中国・香港)

この度、香港で開催されたAsian Conference on Pharmacoepidemiology (ACPE) 2025に参加し、「Validation of diagnostic coding for chronic kidney disease using Japanese hospital-based database」という演題でポスター発表を行いました。

医療ビッグデータを用いて慢性腎臓病を対象とした研究を実施する際には、データベース上の「慢性腎臓病」病名の信頼性が担保されていることが重要です。しかし、日本における慢性腎臓病の International Classification of Diseases 10th Revision (ICD-10) コードに対して、 estimated Glomerular Filtration Rate (eGFR) を用いて陽性的中率 (PPV) を検討するなど、その信頼性は検討されていませんでした。本研究では、日本全国1000以上の医療機関における保険者データと臨床検査値データを含有する医療機関ベースの診療情報データベースを活用した新規手法により、慢性腎臓病に関連する傷病名コードのPPV、感度、特異度、陰性的中率を算出しました。その結果、いくつかのICD-10コードにおいて高いPPVを示し、医療ビッグデータを用いた慢性腎臓病研究の質向上に寄与する知見が得られました。

今回はSpotlight posterに選出いただき、発表を通じて世界各国の研究者と自身の研究について議論する貴重な機会を得ました。海外の研究者との交流を通じて新たな視点を得ることができ、大きな刺激となりました。また、関連領域における研究発表を聴講したことで知見を深めることができ、大変有意義な時間となりました。

最後になりますが、本学会に参加するにあたり、多大なるご支援を賜りました佐藤製薬株式会社様に厚く御礼申し上げます。

(薬学研究科 博士課程1年/河野 紅葉)

(薬学研究科 薬科学専攻 修士課程1年/大島 優人)

第84回日本癌学会学術総会(2025年9月25日~27日)(石川県金沢市)

私は第84回日本癌学会学術総会にて、「Analysis of miRNA Expression Changes Induced by KrasG12D Mutant Cells in Pancreatic Ductal Progenitor Cells(膵管前駆細胞におけるKrasG12D変異細胞が誘導するmiRNAの発現変動解析)」という演題で口頭発表を行いました。

膵臓がんは生存率が低く予後不良ながんとして知られており、革新的な早期診断・治療技術が急務となっています。また、がん患者と健常人の血清中のmiRNAプロファイルの違いを利用し、早期のステージであっても高精度にがんを種類別に診断できたという報告が複数なされており、臨床応用への期待が高まっています。そこで、膵臓がんで最も多くみられる変異であり、主要な前がん病変であるPanINの初期からみられるKRAS変異に着目しました。本研究では、マウスから樹立した膵管前駆細胞の共培養モデルのmiRNA-seqデータと、ヒト血清miRNA-seqデータを統合解析しました。その結果、変異そのものが原因で発現が変動するmiRNAだけではなく、正常細胞と変異細胞が共存することによって発現が変動するmiRNAが存在することが示唆されました。

本学会への参加を通じ、がん研究における最先端の幅広い研究に触れることができ、自身の今後の研究活動に対する大きな刺激となりました。また、私自身にとって初めての研究発表の場でしたが、発表後には多くの先生方からご質問をいただき、活発な議論を通じて新たな視点を得る貴重な機会となりました。

最後になりますが、本学会の参加・発表に際し、多大なるご支援を賜りました佐藤製薬株式会社様に心より御礼申し上げます。

(薬学研究科 修士課程1年/大島 優人)

(薬学研究科 博士課程1年/飯田 和樹)

欧州臨床腫瘍学会:European Society for Medical Oncology (ESMO) Congress 2025(2025年10月16日~22日)(ドイツ・ベルリン)

この度、ESMO Congress 2025に参加し、” Long-term survival benefit of adjuvant therapy with S-1 or gemcitabine after resection of biliary tract cancer”の演題でポスター発表を行いました。

本研究は、日本最大規模のがんゲノム・臨床データベースC-CAT(Center for Cancer Genomics and Advanced Therapeutics)を用いて、包括的ゲノム情報と臨床アウトカムを統合的に解析し、胆道癌における術後補助療法のリアルワールドでの有効性を多面的に評価することで、個別化医療の発展に

資することを目的としました。近年、日本主導のASCOT試験によりS-1の術後補助療法の有効性が示されましたが、リアルワールドデータ(RWD)による大規模な検証は限られていました。本研究では、全国規模のRWDを活用し、術後補助療法の有効性を検証するとともに、遺伝子異常と治療効果との関連を明らかにしました。

発表当日は、米国や中国をはじめとする海外研究者から複数の質問を受け、活発な意見交換を行うことができ、今後の論文化や追加解析を進めるうえで極めて有益なコメントをいただきました。また、同分野の最新研究動向を直接把握でき、自身の研究の方向性を再確認するとともに、新たな視点や解析手法を検討する契機となりました。特に、C-CATを使用した遺伝子異常と臨床アウトカムを組み合わせた解析が国際的にも注目されていることを実感し、今後の研究の発展に貢献できる可能性を強く感じました。

今回得られた知見と交流を活かし、よりインパクトのある研究成果を創出・発信できるよう一層精進してまいります。

最後になりましたが、本学会の参加および発表に際し、佐藤製薬株式会社様より多大なるご支援を賜りましたことに、心より厚く御礼申し上げます。

(薬学研究科 博士課程1年/飯田 和樹)

(薬学研究科 修士課程1年/稲垣 来未)

Asian Federation for Pharmaceutical Sciences 2025(2025年12月3日~5日 )(オーストラリア・シドニー)

私は2025年12月3日から12月5日にThe University of Sydneyにて開催されたAsian Federation for Pharmaceutical Sciences Conference (AFPS) 2025に参加し、「 Identification of Syncytiotrophoblast-Specific Transporter Genes and Their Protein Expression in Mouse Placenta」の演題で研究発表を行いました。AFPSは2007年から隔年開催されており、アジアを中心に薬剤学分野における研究成果の共有と国際交流を推進する重要な場となっています。今回は9回目となる学術会議が開催されました。

Syncytiotrophoblast (SynT) には多くの輸送体が発現し、母体胎児間の物質移行を制御する関門として機能しています。ヒトと齧歯類のSynTにおいて、胎児成長に重要な役割を果たす輸送体は種を超えて保存されています。そこで本研究では、種間で共通してSynT特異的に発現する輸送体を同定し、マウス胎盤におけるタンパク質局在を評価することを目的としました。本学会では、RNA-seq解析に基づいたSynT特異的遺伝子の同定と胎盤におけるタンパク質局在の評価、そして同定したトランスポーターが担う生理的役割についての見解を提示することができました。また、学会には全日参加し、3Dオルガノイドなど異なるツールを用いた多様なアプローチに関しての研究発表を聴講することで、胎盤研究に対する新たな知見を学ぶことができました。特にポスター発表では国内外の研究者とヒトとマウスの種差や輸送体の機能について議論を行い、交流を深めることで自身の研究に対するモチベーションの向上に繋がり、大変有意義な機会となりました。

最後になりますが、本学会への参加に際し、佐藤製薬株式会社様より多大なるご支援を賜りましたことを心より感謝申し上げます。

(薬学研究科 修士課程1年/稲垣 来未)

(薬学研究科 博士課程1年/石鍋 巧朗)

Asian Federation for Pharmaceutical Sciences (AFPS) Conference 2025(2025年12月3日~5日 )(The University of Sydney, NSW 2006, Australia.)

私は、2025年12月3日から5日にかけてオーストラリア・シドニー大学にて開催された「Asian Federation for Pharmaceutical Sciences (AFPS) Conference 2025」に参加し、「Single-Cell Transcriptomic Analysis of Wnt/β-Catenin-mediated Differentiation Pathways in Mouse Trophoblast Stem Cells」という演題にてポスター発表を行いました。AFPSはアジア地域における薬学研究の発展と連携を目的とした学術組織であり、日本薬剤学会も構成団体として参画しています。第9回となる本会議には、各国の研究者が集結しました。

マウス栄養膜幹(mTS)細胞は、胎盤を構成する多様な細胞への分化能を有します。中でも合胞体性栄養膜第二層(SynT-II)は、胎児への物質移行を制御する関門として機能するため、SynT-IIへの選択的分化誘導は、胎盤薬物透過評価系の構築において極めて重要です。本研究ではSingle Cell RNA sequenceを用い、生体内でSynT-II分化に不可欠なWnt/β-catenin経路の活性化が、mTS細胞の分化系譜へ与える影響について解析を行いました。

発表当日は、多くの研究者と議論を交わすことができました。特に、海外の研究者から解析手法に対する新たな提案や、臨床応用を見据えた鋭い質問を頂いたことは、自身の研究結果を多角的に再考する非常に有意義な機会となりました。また、国際的な場での交流を通じ、現在の自身に不足している課題が明確になり、研究者として成長するための大きな契機を得ることができました。本会議で得られた知見と経験を糧に、今後も研究活動に精進して参る所存です。

最後になりますが、本学会への参加は、佐藤製薬株式会社様からの多大なるご支援により実現いたしました。この場をお借りして心より御礼申し上げます。誠にありがとうございました。

(薬学研究科 博士課程1年/石鍋 巧朗)

佐藤製薬株式会社研究奨励資金 過去の活動報告一覧

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